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2019.04.02

建設業法の主な改正点

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建設業法の主な改正点

 政府は15日に建設業法改正案を閣議決定し、現在2020年の施行に向けて国会で審議にかけられています。1971年に建設業が許可制に移行して以降、許可制度の本格的な見直しを行うのは初めてで、建設業者に対して大きな改正となりそうです(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律も同時に改正されます)。
 主な改正点として、
 ①「不当に短い工期の禁止」
 ②「社会保険加入の要件化」
 ③「監理技術者の配置要件の緩和」
 ④「事業承継の事前認可制度」
 が挙げられます。
 また、19年4月1日に施行される予定の「働き方改革関連法」の影響で建設業でも5年間の猶予を経て、時間外労働に対し罰則を設ける方針です。
 今回の建設業法の改正によって建設業界で常態化している長時間労働を是正したい考えです。

①「不当に短い工期の禁止」

 建設現場で大きな問題となっている長時間労働を解決するために、不当に短い工期を見積もることを禁止します。
 現行の建設業法には「不当に低い請負代金の禁止」という規定が盛り込まれていることを参考に、今回の改正では「不当に短い工期の禁止」という規定を盛り込みました。
 建設業者は中央建設新議会の作成した「工期に関する基準」をもとに適切な工期を見積もることが求められます。これに違反し「不当に短い工期」とみなされた場合には、国交省は同じ基準をもとに建設業者に対して工期を是正するように勧告します。この勧告に従わない場合には国交省は業者名を公表することができるので注意が必要です。

②「社会保険加入の要件化

 長時間労働をはじめとした問題から労働者を守るための制度として社会保険加入を義務化することになりました。
 建設業について国や業界はかねてから社会保険の適用強化を推進しており、現在は9割の水準まで加入率が増加しました。
 そんな中、今回の改正では建設業法7条、建設業法施行規則に規定されている「許可の基準」に社会保険の加入を組み込み、建設業の許可を受けるための要件に加えることとしました。
 これによって社会保険未加入の業者は許可や更新を認められないこととなります。

③「監理技術者の配置要件の緩和」

 人材が不足している状況で効率性を促すために監理技術者制度も見直します。
 現行の規定では、現場ごとに専任が求められる監理技術者の「兼任」が禁止されていますがこれを「可能」とします。また、一定の要件を満たす場合に主任技術者の配置を「不要」とする事ができる「専門工事一括施工制度」を創設し、現場の生産性を高め、規制の合理化に努めます。
 その他にも現行では許可要件とされている、経営業務の管理を適正に行うに足りる能力(許可を受けようとする業種に関する5年以上の経営業務の管理責任者としての経験=経営業務管理責任者)を撤廃します。
 これは経営層の高齢化による中小企業の廃業を防ぎ、地域建設業の持続性を維持するためのものです。

④「事業承継の事前認可制度」

 中小企業などの吸収合併や相続による事業承継を円滑に行うための新たな制度である「事前認可」を創設します。
 「事前認可」とは事業承継が起こる前にあらかじめ行政庁の認可を受けることによって、新規の許可などにかかる時間で生じる「空白の時間」をなくすためのものです。
 相続の遺産分割などで事業承継者に対してスムーズに事業が承継されないケースが頻発している中で、この制度が打開策になるのか注目していきたいです。

 まもなく施行される「働き方改革関連法」では、時間外労働を年間720時間以内にすることが義務付けられます。建設業は2024年4月からの適用となりますが、それに先立って労働環境の改善を進めるとともに、高齢化が進む建設業界の課題解決にもつなげたい考えです。


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