AIなどテクノロジーの発展が目まぐるしい現代で、昨年の12月に行政手続きオンライン化法が改正されデジタル手続法が施行されるなどテクノロジーに対応する法整備がどんどん行われています。今後、行政書士の業務は無くなるのではないかともいわれています。
そのような中で、行政書士ならではの価値を高めていく必要があります。
そこで、私たちが新しい価値ある分野として開拓していくのが「戦略的行政法務」です。
では、「戦略的行政法務」とはなにか?
行政書士は、企業法務の中でも法的分析スキルと法制度全体や行政組織に関する知識を駆使して、許認可領域を中心に事業計画とその執行をサポートしている専門職であります。
技術の革新により、多くのビジネスモデルが変化し、それに対応する行政規制が日々大量に発生している中、国内の「行政に関する手続き」を経験し。体系的に理解をしている専門職の存在は、新たな分野に挑戦する企業にとって、今後益々需要があるのは間違いありません。
行政法・政治学・行政学・ルールメイキング・地方自治・公共政策などを通じて、事前のビジネス法令適合性チェック、知財査定等だけでなく、ロビー活動を通じた立法スキーム、管轄省庁への提言、自治体への啓蒙活動によって、その企業の描くビジョンの実現を目指すことを、私たちは「戦略的行政法務」と呼びます。
行政書士は「街の法律家」などではなく、実際はイノベーション企業のブレーンになり得る存在であり、また地方公共団体組織においても重要な存在です。
これからを担う行政領域の専門家の土台を構築したいというのが戦略的行政法務アカデミーの狙いです。
1日目では戦略的行政法務を行うために必要な基礎スキルを学んでいただきました。
まず、内閣提出法案や議員提出法律案がどのように成立するのかという法律の制定過程、各法律を管轄している府・省庁はどこで、その府・省庁はどのように構成されているかといった基礎的な行政組織の理解の確認を行いました。
行政の組織図や立法過程を理解していなければ政策提言やロビー活動を行うことができません。
次に、法令リサーチについては実際に法令を読み解いてもらい、申請書などの許可権者が誰で、根拠条文はどこにあるか、管轄省庁はどこかといったことをリサーチしてもらい、参加者同士でグループワークを通じて議論しました。
法令リサーチは実務家として法令を体系的に理解するのに必要不可欠となってきます。
そしてこういった法的な知識だけでなく、業界の背景や勢力関係などその業界に深く精通する必要もあり、行政書士業務以外の知識・理解が求められます。また、改めて行政書士の優位性について議論し、その強みを明確化し、ビジネス的思考力を身に着けるための日常生活での物事への取り組み方や視点などについても学んでいただきました。知識だけではなく、日々の意識や思考なども戦略的行政法務を行っていく中で重要な要素であることも伝えることができたと思います。
2日目では、日本の現在の法律では実用化が難しいライドシェアや電動キックボードなど新しいビジネスモデルの問題や住宅宿泊事業法の法改正の際にどのように政策提言するかといった内容の課題を1日目に学んだ法令判読・法令判読スキル、法律の制定過程・行政組織の基礎知識を基に実際に検討し、グループワークを行いました。
実用化できない根拠はどの法律だろうか、どのように改正したら実用化できるのか、法令の制定過程のどのあたりで政策提言すべきかといった戦略的行政法務としての視点で多くの異なる意見が飛び交い議論が熱く展開しました。
今後日本で実用化され得る新しいビジネスモデルに法律が制定される前の早い段階で行政書士が関わっていくことで行政や企業に強い影響が与えられることを実感していただきました。また、情報公開請求の制度を使った情報収集など具体的アプローチ方法も学び、実務的な視野を広めることができました。
二日間でありましたが質の高い濃密な時間の中で、「戦略的行政法務」という新しい価値のある分野について学び、これからを担う行政領域の専門家の土台を構築できたのではないかと思います。
「代書屋のイメージが強く、将来性に不安を感じていたが、その思いがガラッと変わってとても魅力的な職業だと感じました!」、「選挙やデモ活動などではなく、行政書士として国や法律、行政を本当に変えることができるんじゃないか!」、「専門性を極めていきたかったが、その方法や手段に苦戦していた。戦略的行政法務アカデミーで極めていくためのビジョンが明確になった!」、「年々戦略的行政法務アカデミーの内容がアップグレードしていて有意義な時間を過ごせた!」と開業して実務家として活動している方や合格したばかりの方、行政書士として活動していくか悩んでいる方など多くの方から意見をいただきました。
3月28日土曜日には大阪(LEC梅田駅前本校)で『 戦略的行政法務アカデミー2020』のショートバージョンでワーク研修を開催させていただきます。おかげ様で多くの予約をいただいており、残り席数もわずかとなっております。参加席数についてはLEC梅田駅前本校までお問い合わせくださいませ!!(TEL:06-6374-5001)
実りのある時間を共有できるよう、大阪でも皆様のご参加をお待ちしております!
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