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2019.05.13

チケット転売、何がダメ?〜チケット不正転売禁止法〜

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 チケットの転売(ダフ屋行為)は各都道府県の迷惑防止条例で規制されていますが、「インターネット上のチケット転売」は「公共の場所または公共の乗り物での売買」に該当しないことから規制の対象外になっていました。
 そこで、2019年6月14日にチケット不正転売禁止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)が施行されます。
 東京オリンピック・パラリンピックのチケットにも大きく関わるこの法律の概要を見ていきたいと思います。


1
規制の対象になるチケットとは

 法では「特定興行入場券」という。
 日本国内で行われる芸能・芸術・スポーツなどの興行チケット(不特定又は多数の者に販売されるもの)で

① 販売時の券面(電子チケットは映像面)に、「興行主の同意のない有償譲渡を禁止」する旨を明示し、その旨が記載されていること。
     かつ
② 興行の日時・場所、座席(または入場資格者)が指定されたものであること。
     かつ
③ 座席が指定されている場合は購入者(座席が指定されていない立見のコンサートなどの場合は購入者ではなく入場資格者)の氏名と連絡先(電話番号やメールアドレス等)を確認する措置が講じられており、その旨が券面に記載されていること。
(チケット不正転売禁止法2条1項、2項、3項)

 例として、下記のようなチケットが規制の対象になるとのこと。
不正転売禁止法
(引用:政府広報オンライン)

2
規制される行為とは

 上記チケット(特定興行入場券)を
 ・「不正転売すること」
     または
 ・「不正転売を目的として譲り受けること」

■不正転売とは
①興行主の事前の同意を得ていない+②業として行う有償譲渡+③販売価格を超えている転売のこと(チケット不正転売禁止法2条4項、3条、4条)

<①「興行主の事前の同意を得ていない」について>
 興行主の同意を得ている場合は不正転売にならない。例えば公式のリセールサイトは興行主の同意を得ているので不正転売に当たらない。

<②「業として行う有償譲渡」について>
 業としてとは「反復継続の意思」があるかによる。この判断は難しく判例の蓄積を待つことになるが、たとえ個人で1回きりの転売でも体制が整っていたりすると「反復継続の意思がある」と判断される可能性がある。
 病気や予定が入ってしまった場合等は原則「反復継続の意思がない」ことになる。

<③「販売価格を超えている」について>
 定価や定価より安い価格での転売は「不正転売」にあたらない。

 ただ、法の不正転売にあたらないということと、実際に転売チケットを買って入場できるかは別問題なので注意が必要。
 興行によっては入場の際に本人確認を行なっており、規約により本人ではない場合には入場できないことがある。
 東京オリンピック・パラリンピックは来場の際に本人確認を行うとのことなので気をつけたい。

3
罰則は?

 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科される。
 そして、「刑法3条の例に従う」とあることから、国民の国外犯も処罰されることに。かなり本気度が高い。

<特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律>
第九条 第三条又は第四条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又は これを併科する。
2 前項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

4
おわりに

 オリンピックやW杯の観客席がダフ屋行為によって空席になっているというニュースもありました。
 私自身もある劇団の猫のミュージカルが好きで、定価の4倍でチケットを購入してしまったこともあります。
 興行側もそして観客側もこの法の7条にあるように、チケット転売について「理解の増進」が必要な時期かもしれません。
 適正な価格で様々な興行を観に行けるようになれば、まさに「三方よし」ですよね。

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