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コラム

2019.05.06

メルペイのポイント70%還元が景表法に違反しない(?)ロジックとは

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 メルペイが実施した「ニッポンのゴールデンウィークまるっと半額還元!」が議論をよんでいます。なぜこのキャンペーンが物議を醸しているのか紐解いていきたいと思います。


1
キャンペーン内容の概要

 参加条件を満たしてメルペイのスマホ決済で商品を購入すると支払い額の50%(セブンイレブンの店頭での支払の場合は70%)分のポイントが還元される。還元したポイントは、次の買い物やメルペイあと払いの支払いに「P1=¥1」として値引きに利用できる。
  ※キャンペーン期間2019/4/26(月)00:00〜2019/5/6(金)23:59
  ※キャンペーン期間中の還元上限はP2,500
  ※18歳未満の方は対象外

2
キャンペーンが景表法違反?

 このキャンペーンが「不当景品類及び不当表示防止法」に違反するのではと議論になっている。
 その理由は、利用者にもれなく提供する「総付景品」の場合、1000円以上の取引(買い物)では景品類の総額(還元ポイント)の上限は取引価格の20%になっているからだ(景表法4条、昭和52年 3月 1日公正取引委員会告示第5号第1項)。
 「LINE Pay」などの還元キャンペーンをみてみると、やはり利用者にもれなく還元する場合は20%を超えないようにしているようだ。

<不当景品類及び不当表示防止法>
第四条 内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。

<一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限>
((昭和52年 3月 1日公正取引委員会告示第5号)・改正 平成 8年 2月16日公正取引委員会告示第2号・平成19年 3月 7日公正取引委員会告示第9号・平成28年 4月 1日内 閣 府 告 示第123号 )
1 一般消費者に対して懸賞(「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和五十 二年公正取引委員会告示第三号)第一項に規定する懸賞をいう。)によらないで提供する景品類の価額は、景品類の提供に係る取引の価額の十分の二の金額(当該金額が二百円 未満の場合にあっては、二百円)の範囲内であって、正常な商慣習に照らして適当と認められる限度を超えてはならない。

3
キャンペーンの法的ロジック

 では、なぜ今回メルペイは50%(70%)還元キャンペーンを実施したのか。
 メルペイの広報の方もロジックについては答えていないとのことだが、おそらく下記の規定に該当するから違法ではないというロジックだと思われる。

<一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限>
2 次に掲げる経済上の利益については、景品類に該当する場合であっても、前項の規定を適用しない。・・・
三 自己の供給する商品又は役務の取引において用いられる割引券その他割引を約する証票であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

 まず、メルカリとメルペイ加盟店で使えるポイントなので「自己の供給する商品又は役務の取引において用いられる割引券その他割引を約する証票」である。
 そして、2,500ポイントが上限であること、ほぼGW期間のみの実施ということから「正常な商習慣から適当と認められる」といえる。
 よって、適用除外となるため20%という制限を受けないというロジック。

4
おわりに

 今回のメルペイの還元キャンペーンはかなり大胆だと思います。これからの○○ペイの還元キャンペーンにも影響を与えることになりそうです。
 確かに、法にはグレーな部分が存在します。しかし、それは決して黒のものを薄めるという意味ではなくて、法がイマの時代に追いついていない場合や法が想定していない場面が出てきているという意味でのグレーです。
 今回のメルペイの還元キャンペーンが何色なのか注目したい。
 

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