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コラム

2019.04.08

労働基準法施行規則改正と労働政策審議会

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労働基準法施行規則改正

 2018年3月9日に公布された労働基準法施行規則が、2019年4月1日に施行されました。この改正を広い視点で捉えると、書面で行なっていたものをデジタル化するというものと考えることができます。
 改正の内容としては、従来までは雇用契約を締結する際に「労働条件通知書」を書面で交付する義務があったものを、本改正によって労働者が希望した場合に電子メール等で交付することができるようになりました。
 電子メール等というものはファックス、GmailなどのWebメールサービスを含む電子メール、LINEやメッセンジャーなどのSNSメッセージ機能などのものを指します。これらは受信者を特定して送信する必要があり、またPDFなど紙で印刷をすることができる方法である必要があります。
 では、これらの条文やその文言はどのような意図・過程で作成されたのでしょうか。

2
労働政策審議会

 厚生労働省には労働政策審議会というものが設置されています。そして、第143回労働政策審議会では、労働条件明示の方法について藤枝労働条件政策課長は「労働者が希望した場合でございますけれども、ファクシミリでありますとか電子媒体による送信、記録をすることによって書面を作成できるものに限るとしていますが、そういったことを省令として規定してはどうかというものでございます。」と述べられています。
 また、第144回労働政策審議会では「労働条件明示の方法は引き続き書面明示によることを原則とするが、労働者が希望する場合にはファクシミリの送信、電子メールの送信(労働者が記録を出力することにより、書面を作成できるものに限る)により明示することを認める方向で検討を継続することが適当とされたところでございます。これを受けまして、右にございますように、労働者が希望した場合には、ファクシミリを利用してする送信、あるいは電子メールその他の電子的方法による送信(ただし当該労働者が記録を出力することにより書面を作成できるものに限る)をすることができることとするかどうか。」ということや「労働条件明示が事実と異なるものであってはならないという当然のことを省令にも入念的に規定すべしとございましたので、今回「第15条により、労働者に明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない」ということを省令に規定したいと考えてございます。」という議論がなされています。
 そして146回労働政策審議会では「労働条件の明示に当たりまして、労働者が希望した場合にはファックスあるいは電子メールなどの送信の方法により明示することができる旨の御説明をさせていただきましたが、有期雇用特措法の今回の指針においても同趣旨の規定の整理を行う旨の改正でございます。」とほかの法律の改正も見込んでいることが明らかにされています。

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まとめ

 このように官公庁で開かれている委員会などの議事録を見ていくことで法令の趣旨や考え方などをいち早く正確に理解することができます。
 今回は省令の改正でしたが、法律の改正など気になる法改正がある方は委員会の議事録を見るという方法で情報を収集して見てはどうでしょうか。