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コラム

2019.03.31

文系卒宇宙志望

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 「月にいるウサギに会いたい」、「天の川でバタフライしたい」、「宇宙飛行士になりたい」、「火星に足跡を残してみたい」という宇宙への夢を文系選択したときにあきらめてしまった方もいるのではないでしょうか。
 今回は文系でも、いや文系だからこそ関わることができる宇宙についてみていきたいと思います。


1
いま宇宙ビジネスがあつい

 宇宙産業の市場規模は3391億ドル(2016年)にも及ぶ。インターネット、AIの次に産業革命を起こすキーワードは「宇宙」ではないだろうか。
 NASAやJAXAなどの国主導から民間主導へ移ってきた宇宙ビジネス。アメリカでは「スペースX」が第1段ロケットを再利用できる技術を示し、スペースシャトルでも実質的に不可能だったロケット再利用の新領域に突入している。
 その他にも、宇宙から人工的に流れ星を発生させる、高速で軌道上を旋回する宇宙ゴミを回収する、人工衛星を農業・漁業・自動運転に活用するなどといった様々なビジネスモデルが登場している。

2
日本の宇宙産業

 日本では堀江貴文さんも携わる「インターステラテクノロジズ」が低コストでのロケット打ち上げの実現に向けて動いている。ロケットの発射が日常の出来事になる日も近いかもしれない。
 また、最近のニュースでは「スペースワン」が本州最南端の和歌山県串本町に民間のロケット発射場を建設すると報道されている。ロケット発射場はロケットに地球の自転の速度を加えるため赤道に近い方がよく、東に向かって飛ぶと効率が良い。そんなことを考えてみるとロケット発射場の立地一つにしても戦略や思惑があっておもしろい。
 もちろん他にも様々な取り組みがあり、日本でも宇宙の存在が大きくなりつつある。

3
宇宙産業に欠かせない文系の力

 このような日本の宇宙ビジネスの発展に対応して、2016年「宇宙活動法」と「衛星リモートセンシング法」が成立した。
 さらに、内閣府宇宙開発戦略推進事務局からガイドラインがでており内容は大きく以下の通りになっている。

   ■ 人工衛星の打ち上げ用ロケットの型式認定
   ■ 打ち上げ施設の適合認定
   ■ 人工衛星等の打ち上げに係る許可
   ■ 人工衛星の管理に係る許可

 上記のような宇宙の法はまだまだ新しい。これからの状況によって変わっていくものでもある。法を正しく読み解く力はその分野の成長・発展に欠かせない。法を通して宇宙に関わることだってできる。
 さらに宇宙ビジネスでは人材の多様化が進んでいて、経営・営業・広報・メディアなど文系出身者たちが必要とされている。
 JAXAの採用ページでは「文系・理系問わず、宇宙航空分野に限らず、幅広い分野から多様な人材を求めています。」との記載がある。実際に事務支援職員採用のほか、経営方針の立案に参画する役員公募なども時期によっては行われている。

4
戦略的行政法務

 宇宙に限らず新しい分野のビジネスでは、行政規制との調整が問題になることが多いだろう。新しくできた法や既存の法では対応できない部分もある。正しく法を読み解き、企業に法的スキームやリスクを示し、時にはロビイングも行う「戦略的行政法務」がこれから大切になってくる。

5
おわりに

 小さい頃に金曜ロードショーで「アポロ13」を観て宇宙に漠然と憧れを抱きました。文系を選択したときに遠くに感じた宇宙ですが、これからは文系卒宇宙志望が当たり前になってくるのではないでしょうか。
 将来、宇宙人からロケットの打ち上げの許可申請をお願いされる時代が来るかもしれませんね。

-writer profile-
 
高橋和真
  行政書士ネットワーク会員
  学びエイド 鉄人講師

行政書士のほか予備校・学習塾・ネット配信授業の講師として活動。宅建・行政書士・貸金業務取扱主任者試験など国家資格試験の講座を歴任。趣味は数学とフットサル。


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