さて、ここで今回のテーマに戻りましょう。
今回のテーマは、「銀行以外の送金上限100万円規制の撤廃」というものでした。「送金」の上限を撤廃することは即ち、これまで高い参入障壁によって守られてきた銀行の主要業務の一角を崩すことを意味しています。
実は、現在も銀行以外の者も100万円以下(1回)の送金業務を担うことは可能です。そのためには、資金決済法に基づき、資金移動業者として内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。
したがって、現行法上で送金業務を行える者としては
➀銀行:送金の上限なし、免許制
➁資金移動業者:送金の上限あり(1回100万円以下)、登録制
の2種類となります。
そして本改正によって、➁新たな類型が設けられ、送金業者は大きく3分類となる見通しです。
➀銀行:送金の上限なし、免許制
➁新たな類型:送金の上限なし、認可制
③資金移動業者:送金の上限あり(1回数万円以下)、登録制
つまり、現在の資金移動業者の送金上限額が引き下げられ、新たな認可制度が設けられることとなります。
本改正が実現すれば、銀行送金のデメリットである送金の遅さや割高な手数料の解消が期待されます。また、不動産や車などの100万円を超える高額送金をする際に、銀行以外の選択肢が生まれることによって新たなサービスが展開されることが予想できます。より顧客本位で革新的な金融サービスを拡充させたいという金融庁の思いの現れともいえるでしょう。