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活動報告

2019.03.11

行政書士・戦略的行政法務アカデミー 実施レポート

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戦略的行政法務とは

 『戦略的行政法務』とは何かとお伝えする前に米国弁護士数について簡単にお話させていただきます。米国では約130万人の弁護士が登録されているのですが、そのうち弁護士業務の花形ともいえる訴訟を中心に業務を行なっている人数は全体の約15%程度に留まります。では、残り約85%の弁護士はどのような業務を専門に活動しているのでしょうか。
 米国の弁護士の多くは企業での予防法務や戦略的業務を行なっています。予防法務とは「訴訟や紛争に発展しないような契約書などを作成する業務のこと」を言います。これは日本でもよく聞くフレーズだと思います。
 次に戦略的法務とは一般的に、「規制の強化、グローバル化、IT化など、企業を取り巻く環境の変化が目まぐるしく変化する現代社会において、企業が新たなサービスを生み出そうとする際に法的な視点で最善の選択をするためにアドバイスをすること」を言います。企業が最善の結果を得るには、経営陣のみが意思決定を行い事後的に法務部門が関与するのではなく、法務部門が意思決定の段階で参加することが必要になります。
 このように法律家が予防法務だけでなく、経営の意思決定に加わることで企業の利益につながるというモデルが海外をはじめとして日本の企業でも増えてきています。
 他方で近年の日本には、民泊やライドシェアなどのシェアリングエコノミーをはじめとした今までになかった(法整備がされていない)ビジネスモデルやサービスが輸入されており、今後もその数は増えていくことが予想されます。このようなビジネスモデルを日本で導入するためには新たな法整備が必要になり、省庁をはじめとした行政との交渉(ロビーイング)が必要不可欠となってきます。
 このような状況の中で、行政と強い結びつきがあり、日々交渉をしている法律家である行政書士は新たなビジネスモデルやサービスを生み出そうとしている企業の利益のために戦術的法務を遂行するべきでしょう。そしてこのような行政と企業の間に入って行う戦略的法務を、私たちは「戦略的行政法務」と名付け、行政書士が活躍できるフィールドが更に拡がるよう日々変化するビジネスモデルを研究し、そこに関わる行政規制や専門法規について知識を深めております。
 私たち行政書士は「戦略的行政法務」を行うことによって、今までの「代書屋」という存在から、今までにない「新たな法律家」としてその価値を発揮することができるのではないでしょうか。

戦略的行政法務を行うためには

 企業の顧問や一員として戦略的行政法務を行うためには先でも述べたように、法令に対する知識やリサーチ能力はもちろん、ビジネスモデルに対する知識やそれぞれの結びつきを意識できるようになることが必要不可欠です。
 今回の戦略的行政法務アカデミーでは、法令のリサーチ能力の向上や新たなビジネスモデルの研究、ビジネスモデルを取り巻く法的課題について参加者同士でグループワークを通じて議論を行い、さらにその内容をアウトプットをすることで充実した時間を過ごすことができました。

基礎として欠かせない『法令リサーチ力』

 法令リサーチでは「法令の読解力」を身につけるために、個別法の趣旨や性質を意識しながら管轄を調べたり、申請書などの書類の根拠条文を調べるなどのワークを行いました。
 この「法令の読解力」を身につけることによって法令を体系的に理解することができ、現行のビジネスモデルや新たなビジネスモデル、イレギュラーな依頼などに当てはめることができるようになります。
 参加された方には開業5年目になる方もいらっしゃり、「普段の業務に追われていると手引きやガイドラインをベースに業務を行っており、どうしても根拠条文の検索などが疎かになってしまっていた。今回は自分が士業という“法律の専門家”だということを再認識するとても良い機会になったので、今回学んだことをベースに自身の業務内容をアップデートし、明日からの仕事に活かしたい」という声もいただきました。

ビジネスモデルと法的課題

 参加者の方にビジネスモデルの仕組みやキャッシュフローについて調査してもらい、さらにそこへ法的な視点を加えることでどのような行政規制や法的関係が発生するのかを議論していただきました。
 課題では、日本で既にサービス展開が行われ、注目を集めているビジネスモデルだけでなく、まだ日本に輸入されていないビジネスモデルについても検討を行うことで、そのサービスにおける日本での法的課題やビジネス展開の戦略などについて議論し、「知っている法律」を「使える法律」としてアップデートするにはどのように思考し、提案すべきかということを伝えられたかと思います。
 例えば、今国会でも議論されているライドシェアに関するビジネスモデルや、今後日本が抱える超高齢化社会問題で必要とされるであろうビジネスモデルについては議論も熱くなり、様々な意見が飛び交いました。こういった議論を法律の制定前やビジネスの輸入前に議論できることに意味があり、新しいサービスの利用者側になるのか普及の地盤を支える専門家側になるのかを決める分岐点に立っていることを実感していただきました。
 参加者の方からは、「刺激的な時間を過ごせてとても嬉しかった」との声や、「グループワークを通じて、立体的に多角的に行政書士業務を探ることができた」という声をいただきました。

3月21日(木・祝)は大阪にて開催!!

 3月21日木曜日(祝日)には大阪(LEC梅田駅前本校)で『 行政書士Business 新規法令リサーチとビジネスモデル構造把握』というテーマでワーク研修を開催させていただきます。おかげ様で多くの予約をいただいており、残り席数もわずかとなっております。参加席数についてはLEC梅田駅前本校までお問い合わせくださいませ!!(TEL:06-6374-5001
実りのある時間を共有できるよう、大阪でも皆様のご参加をお待ちしております!


【受付終了】
行政書士Business 新規法令リサーチとビジネスモデル構造把握

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